ルーンストーンの紹介 

タロットカード同様、ルーンにもいくつか種類があります。
エルダーやヤンガー、あるいはゲルマン、北欧、アングロサクソンなどを始め、デンマークの長枝ルーンや、スウェーデン、ノルウェーの短枝ルーン、スウェーデンのヘルシンゲルーンなど、時代でも地方ごとでも調べるほどに多少ずつ違います。

この辺は言語や手話と同じで、ある種、方言のようなところもあるでしょう。それぞれで意味や解釈、スペルなども多少違いますし、個数や文字自体もルーンによっては違っていたりもします。そもそもルーン=ルーン占いではなく、ルーン>ルーン占いです。この辺は言語や文字系がお好きな方とか、魔術系お好きな方、ご興味ある方は占いまったく抜きでも、ルーンはルーンとして研究してみたら楽しそうです。

ここではなるべく占いとしてのルーンに絞りますが、当然現代のルーン占いでも、使う方によって解釈にはタロット以上に幅があると思います。やはり正解・不正解と言うものでも無いでしょう。

例えば占いで「火」を表すシンボルがあったとします。では火が何を意味するのか?どんな象意を持つのか?人類全体に共通するような根源的な物もあるでしょうし、一方ではそのそれぞれの、地方、民族、文化背景で違うでしょう。
赤道直下と北欧では「火」に対するイメージは、当然同じでは無いでしょうし、同じ北欧でも、中世と現代ではこれまた違うでしょう。

この辺は辺に決め付けないで柔軟に♪個人個人の方が使う上で、使いやすかったり、わかりやすい、プラスの形になれていれば良いと思います♪

ここでは宮里砂智子さんのルーンストーンを見ながら、ハートランドでの古くて新しいルーンのお話をします♪
意味はまだこれからも補足すると思いますし、一個一個についても詳しくお話したいのですが、まずは
24(+1個)のルーンを順に巡って行って見て下さい。

フェオ fehu (F フェオ)
直訳 家畜
意味 財産、豊かさ、母性、分配、育てる事で増える財

フェオは家畜を表すルーンです。占いで出た場合には財産や金銭を表し、まずはお仕事、他にも家庭や愛情などでも比較的物質的な財産を意味しますが、物質的に豊かになる事は、精神的にも豊かになれることですから、シンプルに解釈すればまずは良い意味です。

豊かさ、特にフェオでは物質的な豊かさも表しますが、一方、どどどーん!とギャンブルで一発当てるようなイメージではなく、大切にはぐくみ育てる事によって、徐々に増えていくような財産や、それによる結果を表します。

あくまで因果関係にのっとった、報われる努力で物事が豊かに発展していく様子や、それによって富や名誉に恵まれていく様子などです。努力が次第に実を結んでいく事を象徴するルーンで、友情、家族、などの人的財産の発展も意味します。良いルーンですが、物質に恵まれると言う事は精神的にも恵まれると言う事であり、その事への謙虚な感謝や、自分が恵まれたら他の人への分配や、恵みを与える側になる責任もあらわします。

育てた富が増える豊かさ、物質による精神や、他者への分配など、ルーンでは似たような意味でもちょっとずつニュアンスが違っていたり、前後の流れまで含めた方向性や、姿勢の指針まで含めた暗示のようになります。
ウル uruz (U ウル)
直訳 野牛
意味 野性的な力、行動力、決断、チャンス、勇気、若い男性性

ウルは野牛を表します。ちょうどフェオが所有者を持つ、育てられる側の大人しい家畜であるのに対して、ウルは所有者を持たない、征服されざる野生の牛です。
荒々しさ、行動力、現状を打破して乗り越えていくような、勇ましい男性性、男性原理の象徴のルーンです。

尖った角のような鋭角的なシンボルは、いかにも攻撃的な感じがしますが、ある種、積極性、攻撃性の大切さを意味し、一方ではそんな心構えで同じような自体に対して、立ち向かっていくような意味にもなります。

時には多少傷ついたり失ったりする物があっても、恐れないで進んでいく事。そうする事でそれ以上の得る物や、結果に恵まれるはずの状況であるとともに、そう言う気持ちの大切さ、潜在している事を教えてくれるルーンです。

危険をも含みながら、強い意志やパワー、活気、活力を表して、チャンスの到来のような時にも出るルーンです。

ソーン  thurisaz (Th ソーン、スリサズ)
直訳 巨人、棘
意味 衝動、無意識、試練、苦痛、忍耐

ソーンは氷、巨人、棘などを表します。何かバラバラに聞こえるでしょうか?でもこれらは北欧の人にとっては、どれも恐ろしい物、恐怖の象徴だったと思います。(スピアかモーニングスターを持った、アイスジャイアント辺りを思い浮かべたら近いかも?)この辺は夢占いや、心理学と照らし合わせても面白いと思いますが、総じて潜在的な恐怖や障害を暗示しています。

困難な状況や恐ろしい状況、未知の恐怖を目の前にして、思い切って行動するべきか、踏みとどまるべきか…。
全般的に試練や困難、苦難など忍耐や辛抱の暗示ですが、ソーンが出た時にはウルとは逆に、衝動に身を任せて飛び出してしまう事の自制や、慎重さを呼びかけます。

具体的なベストの行動は、当然その時々の状況で変るでしょうが、逃げ出すわけにも行かないけれども、衝動に身を任せればもっと悪いと言うような時。短気を起こさず、慎重に、また、周囲や目上の方の協力、アドバイスなどを大切にと言う象意です。

ソーンは潜在意識や心の苦痛から、直接的な怪我や苦痛なども表します。あまり良いルーンではありませんが、何がどう障害になっていて、どう言う忍耐や苦痛を強いられているのか?対処法まで含めて考えさせられるルーンです。
アンスール ansuz (A アンスール)
直訳 口、オーディン
意味 言葉、知性、コミュニケーション、保護する力、秘密

アンスールは口を表します。アンスール自体はオーディーンと言われていますが、ロキと言う説もあるようであり、場合によっては直接アンスール神と説明している事もあります。

口はコミュニケーションの象徴で、知識、情報、知性、伝達などを表します。人とのやり取りや情報交換から、独学での勉強、熟考。
また、口、言葉、口伝と言うのは当時は今以上に大切な、秘儀や秘密を意味して表していました。さらにはそこからの神、神格、保護、神秘的な力や保護する力なども、暗に象徴します。

一見抽象的な象意ですが、それゆえに連想範囲や応用範囲は広いです。
一方口やコミュニケーションと取ると、次の移動のラドとあわせて、アンスールとラドには、西洋占星術で言うところの水星の意味がかぶさってきます。

実際、惑星はアンスールもラドも水星が割り振られています。西洋とはまた多少違う物かもしれませんが、北欧でも口は秘密や知恵を伝える物であり、それによる幸福や神秘的、スピリチュアルな力や、霊感を駆使するような物まで含めて、口=言葉=社交や知恵の力を現します。
ラド raido (R ラド)
直訳 車輪、旅行、車
意味 旅、旅立ち、乗り物、移動、出会い、急速な変化・進展

ラドは車輪、車、乗り物、馬、馬車、またそれら馬車や馬に乗っての移動を表すルーンです。
車や馬の意味があっても、同時に乗り物、馬車、車輪などの意味が含まれるところがミソで、旅や旅行、移動など、目的があったり、人工的だったり、人の手のコントロール、あるいは他動的な目的やコントロールのために、移動していくコトが、もしくは乗り手自体や目的、乗り手と乗り物が象徴的にセットになった意味になります。

外部や他動的で急激な変化なども象徴しますが、ほか広い意味で解釈すれば、変化、変動、またそれを望んだり、する事による、自らの向上や成長、新しい世界への旅立ち、何かあっての遠方からのメッセージや、急な知らせなどまでを表します。

成長のための旅立ちとか、目的を持ってする移動。道のりが険しかったり、大変でも、この場にいては得られない、何かを求めての移動になります。

自分自身の成長かもしれませんし、ここでは出来無い事が出来る、新しい世界や環境を求めての旅かもしれません。移動をする、場所を変える事によっての世界の進展、自己の成長や革命がラドです。
ケン kano (K ケン)
直訳 松明の炎
意味 勇気、情熱、知性の力、聡明さ、生命力、スタート

ケンは直訳すると松明、炎、明かりから、象徴的に知性や情熱、何かを新しく始める、思いつく、などの意味があります。

火と言うのもかなり基本的でシンプルな象徴ですから、それなりに広く類推して解釈できます。ただケンは人の手によってコントロールされたり、知性、理性、聡明さなどによる明るい力です。人が手に持って目の前にかざせば、闇を払ってそこにある物を明らかにしてくれる光りです。それは闇に包まれた未知の場所を消し去って、安心を与えると同時に、明らかになった物を見つめて判断、確認出来る知性に象徴されます。

また炎や火元素と言うのは、精神性、新しいスタートや、思考の上での開始=思いつき。などとも訳せます。闇を払い、知識を得れば、さらにその先まで照らしたくなり、意欲と好奇心につながります。

男性的、根源的な情熱や、勇気、精神性のエネルギー、生命力、知性の力による変化。照らし出したり、燃やしたりして、より良く変えていく力などです。

ケンは象徴的に、何かのスタートや創造的な大きな力として出る時もあります。火そのものは、やはり大きな自然の力だからです。ただどちらかと言うと松明の先に灯るケンは、普通は人が上手に使い、活用できる範囲や、また活用する事による力の意味で出ます。
ギューフ gebo (G ギューフ)
直訳 贈り物
意味 愛、人間関係、友情、友愛、現状維持、才能

2本の線がエックスの文字にクロスしています。
ギューフはよく英語のギフトと例えられるように、人から、また人への贈り物を表すルーンです。

基本的には贈り物や意外なチャンスの到来、人間関係の弾みがついたり上手く言っている状態の維持などになりますが、ギューフはとても単純なようでいて、中々奥深い意味があります。この辺がルーンのルーンたるところなんですね。具体的に落そうとすると、非常に多面的な意味に結びつきます。

まず贈り物、プレゼント、と言うところからは、単純な物の行き来だけではなく、それによる愛情。祝福や友情、二人の間でのやり取り、結合などの意味があります。物による心、心あっての物とでも言うべき、物と心の両面性です。

また人対人や、物質的な単純な意味のほかにも、チャンスや天恵、何かの機会、天から送られた才能。などの意味にも取れます。ただこれもまた、そのような才能や機会、天恵をどうするのかといえば、人に対しての贈り物として還元する事が課題になってきます。

個人から社会全体、また有形無形、さまざまな意味で取れますが、全てを通して人が人に愛を伝えると言う事に収束されるのかもしれません。
社会奉仕のような、非常に広くて抽象的な意味を解説してある本もありますが、ルーンにはどこか因果応報のような考え方を感じられますから、この辺もあると思います。

ウィン wunjo (W ウィン)
直訳 喜び
意味 喜び、栄光、運に恵まれる、潜在力、努力、旅

ウィンは喜び、幸せ、栄光、英知、愛情などを意味するルーンです。単純に取ればもちろんいい意味ですね。何か幸せが訪れる、嬉しい事、喜び事がある。

日本的には慶事と言ったりしますが、訳では栄光などとなったりします。この辺の微妙なニュアンスも面白いですし、言いえて妙なところもあります。
比較的、コレまで努力しても目が出なかった、日の目を見なかったり、結果が伴わなかった事が報われる的な意味があります。努力はしていたけど運で結果が出なかった事が、今度は運に恵まれる喜び…見たいな感じでしょうか。

その意味では人の力が介在したり、コントロールできるような、ケンやギューフとは多少ニュアンスが違います。ウィンはどちらかと言うと時期や状況も表しますし、精神的、スピリチュアルな側面もあります。

改まって言葉の意味を考えれば、栄光と言うのは努力抜きで偶然何かが認められるようなイメージでは無いです。それは幸運、ラッキーです。また心は寂しいけれども、その犠牲で物質的には恵まれたと言うのも、ちょっと栄光や喜びとはイメージが違います。

努力が報われ、心が報われ、正当な成果と報酬に恵まれる…ウィンはそんなイメージです。ルーンはこんな感じで、一言で言ってしまえば直訳の意味は同じだけれども、ニュアンスや背景、前提条件のような部分で色が違う…と言う様な所がたくさんあります。
ハガル hagalaz (H ハガル)
直訳 ひょう、霜、氷、冬
意味 アクシデント、災い、障害、事故

ハガルは雹や霰、さらには象徴的に冬や氷、障害などを表します。
水がが物質となって人に害をもたらす、突然のアクシデントや災い、不可抗力や自然の力など、どちらかと言うと注意していても避けられないような物、本人の力では防げないような状態などです。
いわゆる悪いルーン、苦難や障害、忍耐を象徴する主に凶のルーンなんですが、ごく稀にその中に良い意味も含まれていたりします。

この辺がルーンの抽象的、また運命的で難しいところで、例えばタロットで塔と言うと、アクシデントや事故、事件、個人間ならケンカや行き違いなどがまず、ドカンと起こるような感じですよね。これが冬や氷の意味を含むハガルの場合だと、こう着状態が始まるとか、中々上手く行かないサイクルに突入するとか、ジワジワなっていくとか、そう言う時にも出ます。

そしてもう一方では「時間をかけた方がいい」とも読めるんです。この辺は塔が人災的なニュアンスのある、事象のイメージに対して、象意自体はより自然の状態であるハガルは、無理にそこから変えたり抜け出したりするよりは、いかにその状態を自分にとってプラスの形で乗り切るのか?と言う感じになります。
冬が来る事自体は避けられない。それを知るのが占いでありルーン。
ルーンにはそんなニュアンスもあります。
ニイド nauthiz (N ニイド)
直訳 必要
意味 不足、不満、欠乏、飢餓、現状維持と覆す力

ニイドは必要と言う意味の、英語のneedで説明されるように、何かが足りない、欠けていると言う事を表す、必要性のルーンです。

飢餓や不足、不満、無いと困るのに足りない。早く進んでくれないと困るのに停滞している。そんな状態です。まったくの新規から何かを始めるのには向かないルーンで、問題に直面している時も、小手先ややりくりのような部分で上手に立ち回って回避するのは、あわないルーンです。

ニイドはどちらかと言うと忍耐や現状維持、一見不可能に見える問題に対してでも、正面から腰をすえる必要がある時に出ます。
自分自身の潜在能力や、火事場の馬鹿力的な普段自覚していない能力の開花を説いているものもありますが、これも正しいと思います。それは本当に必要な物ならば、求め続ければ必ず手に入るはずだからです。

つまり本当に必要なら手に入るはずのもの、状態なら、あとは小手先や安直に人の手を借りてしまうか、求力による自分自身の成長によるものか、入手方法の違いになるだけとも取れます。

その意味ではニイドも、やや塔+吊るし人のようなイメージで、その意味では前のハガルとも似ていますが、ニイドは状態の天災さや理性の必要さよりも、こちらの望むべく態度や、成長するべき潜在力のような、自分自身の姿勢により焦点が当たります。それが稀に一転して、チャンスが到来するような場合もニイドにはあります。

イス isa (I イス)
直訳 氷、槍
意味 停滞、膠着状態、別れ、争い、攻撃性、男性原理

イスは氷、停止、こう着状態や凍結、槍、さらには争いや権力、男性原理のような意味があります。
イメージ的には氷の巨人であるソーンや、冬の雹のハガル、忍耐のニイドともちょっと似ているでしょうか。この辺は北欧の占いですから、こちらから見ると一見似たような言葉でも、ニュアンスが違ってくるのだと思います。

イスは状態や状況、物事自体の凍結、停止の意味になります。これは良く取れば安定状態とも解釈できます。ハガルのような客観的に悪い自体の訪れ、天災的な不慮の急展開や、ソーンやニイドのような内面の問題とは違います。事件や出来事、状況自体が止まってしまうわけです。こちらの内面成長のための、忍耐の時期とか言う事は普通関係ありません。

氷と言うのは水を含んだもので、ことさらイス自体に悪意があるわけではありません。にもかかわらず、状態が停止してしまう、膠着してしまう、冷え切ってしまうと言うのは、やはり多くの場合は困った状況を意味します。
直接、積極的な被害があるわけでは無くても、自体の頓挫や関係が冷えてゆく、何をしても変らないとかがイスです。実際には他のルーンとの組み合わせで見たりしますが、色々な意味でのストップ状態の警告や注意がイスの象意です。

稀にこちら側の氷の決意も表します。これはイスを槍に見立てた場合の解釈で、毅然として立ち向かわなくてはなら無いような場合などの、こちら側がオフェンスに出る場合の保護の意味です。

ヤラ jera (J ヤラ)
直訳 一年、収穫、実り
意味 一年、収穫、実りと刈り入れ、自然のサイクル

ヤラは一年間と言う時と、そこから来る収穫、実りなどを表すルーンです。
長期的、地道、日々の作業や、同じ事の繰り返しによって得られる良い結果や成果で、実りや刈り入れ、一年などの時間に関係する時に出るルーンです。

実りや刈り入れと言う事は、ひとつのサイクルの終了と、新しい始まりも意味します。そのためか、期間的には年末を担当するルーンとされていますが、時期を見る時には収穫期である9月から10月になるようです。

ヤラは普通はよい意味ですから、時間をかけて努力していた物が正しく育って、収穫の時期を迎えられる事になりますが、努力以上の爆発的な成果や、タナボタ的な幸運を望んでいる時には逆に、本来の努力量以上の物は期待しにくい、自然の法則の範囲内と言う、等身大の意味にも取れます。

また状況によっては個人的な大発展と言うよりは、関わっている全員、チームや関係者一同での、喜びや成果と言う意味にもなります。

ヤラはルーンの中でも一年間と言う、単純に一番長いサイクルを表します。
大地や理想、時間、自然や植物と言うものが連想象意になる、雄大なルーンです。

ユル eihwaz (Y ユル)
直訳 イチイの木(武器になる木)
意味 死と再生、制限、サイクルの節目、チャンスや変化

ユルは直訳でイチイの木と言う意味のルーンです。
イチイ英名Yewの強い木で、あまり聞かない気の名前かもしれませんが、実は山地になら北海道から九州まで立っております。

昔の北欧、西欧では弓や槍など、武器や防具を作る事に使われていたそうです。FF…あ、ファイナル・ファンタジーじゃなくて、ゲームブックのファイティング・ファンタジーをお好きな方なら、5冊目の盗賊都市で「ニレの木の下で野営をし、イチイの木を見つけて長い枝を切って、矢を射る弓をこしらえる。」と言う場面が出てきますよね♪

ユルは武器と紐解けば、死を与えるものです。しかし獲物を取るために相手に与える死は、自分自身の血となり肉となって命を繋ぎます。防具と解釈してもやはり、ひとつの事件を乗り越えて、生き延びる事になります。

ユルは卑近的にはチャンスや獲物、一方では敵や危機が迫っている事を表します。どちらになるかは状況次第でしょうが、チャンスならしっかりと射止める事が、危険なら上手に防ぎきる事が求められます。
ただユルは普通はどちらかと言うと良い意味ですし、危機の暗示の場合でも、手に余るほどの大きな物を表す事は考えにくいです。

さらに象徴的には生と死、ひとつの再生のサイクルのような物を表します。
何かにピリオドをうち、新しく始まる関係や状況を象徴します。

ペオース perth (P ペオース)
直訳 ダイスカップ
意味 ハプニング、突発、偶然、性、死、露見、予想外

ペオースは中々ミステリアスなルーンです。はっきりとは意味はわかりませんし、東洋的には近しい概念や発想が少ないからです。
一応はダイスカップ=賭け事やギャンブルで使う、サイコロの壷の意味、象徴と言われています。そこからゲームやゲーム盤、遊戯性全般、突発的な出来事、ハプニング、不慮の自体などを象徴します。神秘性や運命の悪戯のルーンです。

とても無理な状況や、まさかと思えるような場合でも、当たって砕けろのダメモト的に挑戦してみる…そんな価値を思い出させてくれるルーンでもあります。やっぱりダメかな…と思っていたら、思っていたのとは違う場所で事情が変ってきたり、諦めようかと思う頃に、起こした行動とは違う原因で、突然状況が動いたりと言うのがペオースです。

突然起きる意外な出来事、突発的な事件や自体。比較的良い意味で出る事が多いようですが、最初から良い状態で安定していたような時には、まさかと思うようなどんでん返しの警告にもなります。

表が裏に、裏が表にひっくり返る。秘密性そのものや秘密が暴かれる意味もあります。隠されていた秘密が白日の元にさらされてしまい、さあそれが吉になるか凶になるかはその時次第…みたいなニュアンスです。

秘密を知ったり握ったりもありますが、暴露させられてしまったり、好ましく無い秘密を知らされたりと言う事だってあります。さらにはペオースにも象徴的に生と死、命の代償ややり取り、性の意味もあります。
エオロー algiz (Z エオロー)
直訳 大鹿(ヘラジカ)
意味 保護、友情、仲間意識、調和、犠牲、防御

エオローは大鹿。ヘラジカやヘラジカの角を意味するルーンです。
鹿は大きな角を持って、仲間で群れて暮らします。

エオローは仲間や友情、またそれらによる保護や防御、守ったり守られたりの仲間意識。健康や群れでの調和、社会意識から、時には自己犠牲までを広く表します。

だから目先の利益や個人的な打算は、かえって犠牲になるような場合も、エオローは表します。犠牲や欠点無しでの満点が手に入るわけではなく、所属しているグループや集団単位とか、大局的な視点で見た場合の保護や防御になります。

それでも普通はとても良い意味です。何より多くの人や仲間に支えられて保護されるわけですから、協力や援助、仲間意識のような見えないプラス、副産物がたくさんあります。

一人孤独に立ち向かうのではなく、自分の後ろにたくさんの仲間の支えを感じたりして、実力以上の成果や結果が望める時です。

シゲル sowelu (S シゲル)
直訳 太陽
意味 成功、名誉、生命力、健康、活力、復活

シゲルは太陽を表すルーンです。太陽に象徴される明るさや生命力、健康、可能性や活力。 勝利、パワー、男性性、陽性、リーダーシップ、さらには完全性や、成功、名誉などの意味もあります。

活力や精力を暗示するわけですから、エネルギーに満ちた状態ですが、逆にシゲルが出ている時に、特にやる気や健康面で不安があるようなら、反対にポイントである活力を取り戻すべきの意味にもなります。
公明正大で、太陽そのものの暗示である点については、シゲルはタロットカードの太陽とも似ています。

また、松明の炎であるケンとも良く比較されますが、ケンは人の中に眠る潜在性や、知性の炎です。シゲルは手に持てる松明と違い、光りと熱を投げかける中天に輝く太陽なので、人が利用すると言うよりは、祝福されたり、恩恵に与る状況や、あるべき姿のような、力その物のニュアンスになってきます。

シゲルには逆位置が無い事からも、こちらがシゲルをコントロールしようと言うよりは、シゲルをどう考えてこちらが乗っかるか?取り込め、追い風に出来る形を見出すか?のような感じになってきます。

ナチスのマーク(逆卍)は、シゲルを組み合わせた物(バインディング・ルーン)と言われています。
ティール teiwaz (T ティール)
直訳 戦いの神ティール
意味 勇気と力、情熱、闘争心、攻撃と防御、競争、男性原理

ティールは北欧神話の軍神、ティールを表すルーンです。
敵を打ち負かし、勝利を勝ち取る勇ましいルーンで、やはり困難に接した時とか、どうしようかと迷っている時で「進むべき!」なんて時に出ます。

軍神や戦の神様の象意と言うのは、比較的どこの世界でも神話でも共通していて、このティールも変に慎重になったり、消極的になるよりは正々堂々、全力でぶつかるようなルーンです。昔の北欧の人々は戦いに望む前に、武器や防具にこのティールを刻んでいたそうです。

ギリシャ神話のアレスなどもそうですが、男性の軍神と言うのは、たいてい一対一の決闘とか、力と力の勝負で威力を発揮します。
これは必ずしも相手を倒すと言うよりは、自分自身の中の弱い自分を倒して超えると言うような勇気や、積極性、公正さや「良い意味での正義」を表しますから、過程を省いちゃって勝利の結果だけをポロンともらっても、あんまり意味がありません。

この点、男性の軍神はたいてい、戦う事自体が自己研磨や自己鍛錬などの意味を持つので、同じ軍神でも女神に多い、知恵と工夫で乗り切ろうとか、みんなの協力で何とかしようと言うのとは、ちょっと趣旨が違います。

ティールもまた困難に向かってひるむのではなく、情熱や闘争心を忘れない事、それによって必ず乗り越えられるべき自体である事などを意味します。

ベオーク berkana (B ベオーク、ベルカナ)
直訳 カバの木
意味 穏やかな成長、進展、拡大、母性原理

ベオークはカバの木、白樺を表すルーンです。カバの木が西欧では母性を表す象徴とされ、ベオークはティールとは対照的に物事の成長や進展、さらには治療、再生から贖罪、復活、子供や家庭などの母性全般までを表すルーンです。

解釈と適用範囲が広いルーンですが、傷ついた物ならゆっくりと治療し、成長する物なら穏やかに見守ります。出産や誕生、何か物事の始まりや、新しい事、穏やかな家庭。成長や豊穣。何かを守ったり、育てたりするルーンです。

普通は良い意味で、抽象的で、意味の解釈や対象が広いルーンではありますが、それほど癖のある象意のルーンでは無いです。何か物事を手がけているなら、その対象の順調な成長や進展、傷ついた出来事や、衝突事を起こしてしまった時なら、それらの穏やかでゆっくりとした回復を意味します。

新しい出来事やアイディア、副産物の誕生のような意味や、生まれているもの…すなわち子供さんや家庭全体を現すような場合もあります。
広く取った場合は社会全体が正常化されるための、自浄作用のような意味にもなります。これが「全体が回復されるための贖罪」のような意味にも、つながるのではないでしょうか。

エオー waz (E エオー)
直訳 馬
意味 友人、変化、援助、言葉、試練とチャンス

エオーは馬を表すルーンです。馬は犬と並んで古くからの人間の友達で、人を乗せて移動する最も早い物です。古代では神聖な生き物としても見られていました。エオーは他にも移動や変化、また信頼や友人を意味します。

移動と言う意味では、エオーはラドと良く似ています。確かに、古代には自動車はありませんから、車と言っても引いているのは馬になります。それで旅をすると考えればいよいよ似て聞こえますし、ラドは神話では太陽の戦車=車輪=車ですが、ルーンの詩ではどちらかと言うと車ではなく、馬のみの意味を持たせての移動(馬に乗っての旅)と言うものが多いです。

ただやはりここでは、エオーの意味は馬自体になります。ラドは騎乗で、エオーは馬そのものです。乗って移動するラドと比較すると、エオーは自身の活動とか活力、移動する事その物が目的のようなニュアンスになります。

結果的に移動自体は同じだったり、より良い状態に移る、変化すると言う意味に共通項はありますが、馬による行動自体がエオーの象意です。旅その物を楽しんだり、スタートの時点では、特に目的を決めていないような気ままな旅などは、どちらかと言うとエオーです。

また先祖と自分、生と死の架け橋のような側面がラドにはありますが、こう言うのはエオーには特にはなく、一方で仲間や友情、友人、信頼と言った意味は、主にエオーになります。

マン mannaz (M マン)
直訳 人間
意味 自我と社会、協力、相互、想像、人間性

マンは人間を表すルーンです。英語のマン(Man)と同じですが、男性とか、個人ではなく、人間そのものや自我、人とのやり取りや交流、時には人類を表します。
マンであり、メンであり、ウーマンです。よーするにノンマルトですねー。

二人の人間を表している文字…と言われているところからもそうであるように、むしろ主には人間関係やお互いの協力、理解などを意味します。

周りの人との協調やバランス、人との巡り合わせや援助者、助け合い、社会性、人類愛のような物が主な意味になる他、ボランティア、チームワークや、自分自身、さらには全体の中での自分の役割や立場などを象徴し、本来は祖先などの意味も持っています。

普通は悪い意味ではありませんが、何かの事件を抱えているような時には、独力で全部抱え込んだり、一気に問題を解決できるような意味のルーンではありません。

どちらかと言うとこちらの心がけや、姿勢そのものに示唆を与えるような場合にも出ますし、マンの場合、込み入った事態の時などは、解釈もややひねったものになる事もあるように思います。

ラーグ lagus (L ラーグ)
直訳 水
意味 感情、想像力、状況の変化、糧、吸収、女性原理

ラーグは水を表すルーンです。
水はどこでも非常に広い意味と象意を取りますが、ルーンのラーグもまた、四元素の水と同じく感情や感性、想像力、イマジネーション、霊感、神秘性、美、などや、さらに生命を育む糧や栄養などまでを表します。ラーグは理論よりは直感や感性で、水から海、女性性全般などの象徴にもなります。

水、そして海は生命を育んだり維持したりするもので、無くてはならない潤いや栄養、糧でもあり、打ち寄せる波は海と岸の接点でもあり、水そのものまで含めて変化や移行する物の意味にもなります。

この辺はラドやユル、エオーなどの変化、移行とは、やはりニュアンスのような部分の違いになります。ラーグは状態から状態への、移行や変化の要素が強いんです。反対に個人や明確な目的のために、あっちからこっちへ場所を移動するような感じでは無いです。

また単純に女性や、女性的感覚、水のような女性を表している場合もありますし、直感や情感、形の無い霊的な対象をキーポイントとして指したい時なども、ラーグに当たる場合があります。

芸術や美術、音楽など、論理的な物や、有形の物では無い物で、心を満たす物、豊かにする物。有形や論理的な物のすき間にあって、満たす物全般の象徴が水のラーグです。

東洋では水は比較的、不安や凶意と取られやすいですが、ラーグは特にそう言う事は無く、どちらかと言うと、ポジティブで楽観的な意味合いが強いです。
ルーンでは凶意はどちらかと言うと、より冬や氷に投影されるので、氷が溶けた水については大切な物、必要な物、満たしてくれる物の印象の方が、強めなのかもしれません。
イング inguz (ING イング)
直訳 豊かさの神イング(フレイ)
意味 楽しさ、豊かさ、性、発展、創造、完成

イングは北欧の豊穣の神で、ユングヴィなどにもなり、さらにはフレイの別名と呼ばれています。フレイとイングがまったく同じ神様で、呼び方だけが違うのかどうかははっきりとはわかりませんが、ほぼ同じ神様のようです。

と言うわけで、フレイは豊饒や生命力、多産などを象徴する神様です。でっかいちんちん…男根をお持ちだそうですが、神話の中には女陰や男根ってたくさん出てくるんですよね。

あと戦いの神様の側面もありますが、主には農業、植物、雨や日光など自然物の神様です。そこで生み出す物、多産の象徴として男根なんでしょう。
昔の人は日常は慎ましかった分、お祭とかそれ以外の場では、むしろ性には大らかで、男女の性やセックスは別々の物が交わって新しい物を生み出す行為として大切でもあり、楽しんでもいたのかも知れませんね。
日本でも日頃慎ましやかな反面、お祭になると男根のご神体とか、男性器の御神輿とかあります。

風水の本なんて図面のページになると、めくってもめくっても女性器そのものばっかりの絵で、思わず「どうすんだよっこれっ」見たいに思っちゃう時がありますが、この辺はどこの世界でも共通する物があるのかもしれません。
なんか、ちんちんと男根女陰の話ばかりになってしまいましたが、イング=フレイは豊かな実りと生命力、自然の豊饒を意味するルーンです。

普通は豊かな実りや、成果が期待できる良いルーンで、他には撒いた種が実ると言う事や、一回転する形として、一つのサイクルも表します。
何かの節目や、成果を上げての一区切りとかで、象意としては若い男性の意味にもなりますが、ウルやティールのような、男っぽい男性性ではありません。
オセル othila (O オセル)
直訳 故郷
意味 遺産、財産、家、名誉、伝統、保守と忠誠

オセルも最初は、一見ピンと来にくいルーンかもしれませんが、故郷やふるさと、家、遺産、領地、財産などを表しています。
名誉や財産、遺産などを意味するのですが、それに伝統、伝来、しきたり、慣習などの、土地や先祖の意味や形を通してと言う意味がかぶさってきます。

時には目に見えない形で、先祖やふるさとから与えられる物、受け継ぐ物を表しますし、例えばフェオが自分で育てた財産だとすると、オセルは受け継ぐ財産や目に見えない財産。自分の一存で自由に動かしたり、運用する範疇とは違う形の財産などを表します。この辺は西洋占星術の2室(牡牛座)と8室(蠍座)の関係と、ちょっと似ています。

単純に遺産や不動産の継承、入手かもしれないですし、技術や役職の継承とか、先輩や前任者のアドバイス、その地方からの贈り物、またもっと精神的な物や、土地や人々全体に関係する何かかも知れません。

オセルには正逆を取る場合と、取らない場合があるのですが、どちらにしても故郷や伝統、遺伝などについての安らぎと束縛、土着のしきたりや伝統、昔からあるパターンの、メリットデメリット、両方を表します。

家族全員が一丸となる、家庭や親族の絆を思い出す、故郷や遠くからの便りなどと言うのはオセルです。
ダエグ dagaz (D ダエグ)
直訳 一日
意味 終わりと始まり、増加と成長、時間、幸運、サイクル

ダエグもシゲルと同じく太陽の意味のあるルーンですが、こちらは太陽の一日の動きの方を表しています。日が昇って沈み、夜になってまた朝が来ると言う、一日のサイクルを表すルーンです。

ダエグにも成長や収穫、祝福と恵みの意味があります。この辺もシゲルは中天の太陽と言う感じで、ルーン詩の中では「氷の破壊者」と言う、強めの表現も使われていますが、ダエグは一日かけて育まれた、着実な実りや成果を意味します。

ゆっくり育って、自然の摂理で成長して変化した成果です。
精神的な成長や、象徴的な光の力、永遠の愛なども意味します。無理の無い、穏やかな幸運と恵み、時間をかけた成長とチャンスのルーンです。

時間を表すルーンですから、やはりダエグも物事の節目の意味があります。絶頂を極めれば次には日が沈みますが、夜になってもまた朝は来ます。何かひとつの作業や事件の、一区切りの時に出るルーンです。

ダエグそのものには、非常にニュートラルなイメージがあります。時間には悪意も善意も無いようにです。時間の輪の中で正しく振舞っていれば、それだけの成長と祝福がありますよという、こちらの姿勢に対しての、時を告げるルーンです。
ブランク blank (ブランク・ルーン)
直訳 宿命
意味 空白、宿命、運命、流れ、不定、試練

ブランクルーン=ウィアドはルーン文字としては存在しない物のようで、占い用として後世に作られました。ウィルドには宿命と言う意味が割り当てられ、何か大きな力が働いている事をさします。

事態が急展開するが、こちらの手の届かないところで動いて行ってしまうとか、まったく読めない状況とか、個人の努力や創意工夫では、どうにもなら無いような時です。

場合によっては具体的な意味は不明で、他のルーンとの関連で読むとか、占者やキャスティングによっては、ブランクが出た場合は神託が得られなかった物として、占いは中止すると言う事もあるそうです。

実は私は実占では、ウィアドはあまり使わないんです。
ルーンを使う時はたいてい24のルーンのみです。
もちろんこれでも占えますが、サイトの無料ルーン占いにはついていますし、今はウィアドを含めて占う方が多いようなので、触れてみました♪
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