吊り橋
目の前に一本の吊り橋があります。
迂回するには、はるか谷底まで、ずっと降りて回り道しなくてはいけません。
吊り橋を渡れば、道はまた先に続いていて、目的地があります。
これは、もしも今現在か近い将来、一見危険だが、自分の進むべき道、
チャンスが見えてきた時、冷静に判断した上で勝算があるのなら、
落ち着いて、進んで行って大丈夫…と言う暗示です。
吊り橋は一歩進むごとに揺れて行きます。
景色も変わります。驚いて暴れたり、
あわてて後戻りしようと思えば、ますます危険になるでしょう。

でも揺れに合わせて、落ち着いて一歩一歩進めば、目標にたどり着きます。
そこで、欲しかったもの、時間、一休み、いろいろな物が手に入るかもしれません。
渡れる吊り橋か、渡れない吊り橋かの見極めは、もちろん大切でしょう。
でも吊り橋は一見怖いように見えても、同時にチャンスの意味でもあります。
怖いと思うのはあくまでも、自分の心の中ですから、
吊り橋と言う、状況自体が、恐ろしいわけではありません。
見ているだけで吊り橋が、こちらに飛び掛って来るわけではありませんから。
慎重になるのは悪い事ではありませんが、
万が一落ちたらどうしよう?なら、結局は落ちなければ良いのです。
そして渡れる99の可能性よりも、落ちる1の可能性をイメージして、
いつもいつも回避してばかりでは、結局、中々目的地にもたどり着けなくなってしまいます。
始める前には、失敗するイメージを、いくらでも膨らませてしまうでしょうが、
振り返った時には、大丈夫だったか、失敗だったかの二つに一つしかありません。

大丈夫な程度の落下で、毎回落ちていては、
実際に得られている物は、渡れた時の成功ではなく、
落ちて失敗した時と、迂回した時の安心感になってしまいかねません。

実は、結果的には渡れてさえしまえば、リスクも失敗もゼロのはずなのに
上手く行かなかった時の安心感の方を、望んで選択している事になってしまいます。

充分身軽で、渡れる橋と判断できたら、
時にはゆっくり渡ってみる選択肢も、考えて見ましょう…の、
冷静な、状況判断の上での勇気の大切さが、吊り橋の象意です。
渡り出してからの方向転換、
見えてきた風景の中に、異性の誘惑などがあった場合には、充分注意してください。