夕日      
山々を背に夕日が美しく沈んでゆきます。
美しい夕日の風景に、あたり一面もまた、夕焼けで美しく赤く染まっています。
この夕日は色々な意味に取れます。
美しい一方で、どこと無く寂しい感じもあり、夕日は衰運、退廃、落日に通じます。
日が沈む前の一瞬の美しさは、夜の帳とともに、見えなくなってしまいます。
今美しく見えた物、風景、人物も、夕焼けと言う
一瞬、ひと時の中であったからこそ、美しく見えたのかも知れません。
刹那の美しさ、見栄えのよさに惑わされず、実態を見極める、
夕日の当たっている美しい面の他に、当たっていない裏側の、
本当のはずの面をも、見極めると言う意味にも取れます。
また、美しい物に心を動かされるのは良い事ですが、
心を奪われては無警戒になってしまいます。

照らされている姿が本当の姿とは限りませんし、夕闇もすぐ迫っています。
その夕闇には、何かがまぎれているかも知れません。
内面を伴わない美しさや、暗がりに隠れる物への注意の暗示もあります。
夕日が落ちれば、これからは夜も始まります。
あまり大きな事、エネルギーを使う建設的な事をスタートするのには、
どちらかと言うと、向いている時では無いかもしれません。
美しさに感動出来たのは、心の中でしょう。
移り行き、変わり行く、辺りの風景にこだわり過ぎず、
何かに感動出来た心があるなら、その内面の気持ちこそ大切にして、
今度は自分自身が美しくなれるように、内面も磨き、夜のドレスもまとって、
夜のひと時を美しく楽しめるようにして見てはどうでしょうか…。
と言うのが、夕日の時の象意になって来ます。